3279865 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

人生朝露

人生朝露

荘子とGod。

そいでもって、

悪かったわね!
荘子です。

前回、荘子の世界の絶対者については書きました。

参照:当ブログ 荘子と進化論 その28。
http://plaza.rakuten.co.jp/poetarin/diary/200911260000

回曰「敢問無受天損易。」仲尼曰「飢溺寒暑、窮桎不行、天地之行也。運物之泄也。言與之偕逝之謂也。為人臣者、不敢去之。執臣之道猶若是、而況乎所以待天乎。」(「荘子」山木 第二十)
→顔回は仲尼(孔子を呼び捨て)に尋ねた。「敢えてお聞きします。(先ほどおっしゃった)天災を受け入れるのは易しいとはどういうことでしょう?」仲尼は答えた「飢えや洪水、寒さ暑さといったものは、天地のめぐり合わせであって、従うよりほかはない。臣下は、君命を受けては逃れることができない。人である臣下の道であってもそうなのだから、天による命に対してはこれに安んずるより方法はない。」

・・・これ、大事なことだと思いますよ。天災に関しては「誰が悪い」とかないでしょ?これに変な因果関係をつけちゃうと、人間っておかしなことになります。「天罰」なんてものは、災害に関してはやっちゃだめですよね?行政の怠慢とかで、無理矢理責任を負わせすぎるのもおかしいですよね?大事件や戦争でも同じです。

「9.11同時多発テロは、アメリカへの神の怒りだ。妊娠中絶をしたり、同性愛やフェミニズムなどの生活様式の自由を容認する、市民活動家や人権派の弁護士の行いが、神の怒りを買ったのだ。」(故ジェリー・ファルウェル)

参照:Falwell and Robertson on The 700 Club after 9/11
http://www.youtube.com/watch?v=H-CAcdta_8I

・・・関係ないのに関係付けるとか、そういう発想ですよ。なんでも「天罰」にしてしまうようなことになるんです。これに、自分たちが正義の側だという前提があると、たとえ、奴隷にしようが、たとえ原爆落とそうが、一切の反省も無しに「天罰だ」といって憚らないバカ宗教のできがりですよ。一切の反省も無しにね。

Zhuangzi

鄭有神巫曰季咸、知人之生死存亡、禍福壽夭、期以歳月旬日、若神。鄭人見之、皆棄而走。列子見之而心醉、歸以告壺子。曰「始吾以夫子之道為至矣、則又有至焉者矣。」壺子曰「吾與汝既其文、未既其實、而固得道與?衆雌而無雄、而又奚卵焉。而以道與世亢必信、夫故使人得而相女。嘗試與來、以予示之。」明日、列子與之見壺子。(『荘子』応帝王 第七)
→鄭に季咸(きかん)という占い師がいた。人の生き死にや、幸運、不運、寿命を何年何月何日までぴたりと言い当てる、神のごとき占い師だった。鄭の人は季咸(きかん)の姿をを見ると、何でも見透かされると思って裸足で逃げ出す有様だった。列子はこの占い師に心酔して、帰ってから師匠の壷子に告げた。「先生に道(Tao)について学んできましたが、その先ににある教えがあることをあの占い師を見て知りました。」師匠は言った「お前に言葉で道(Tao)について教えたつもりだが、それで会得したつもりか?どれだけ雌鶏がいても雄鶏がいなければ、卵は孵らないぞ。道を学ぶということが分かっていないから、お前は占い師ごときに心を見破られてしまっているのだ。試しにその占い師を呼んで来い。」翌日、列子は、師匠を占い師を面会させた。

・・・「卵」ってのは、宇宙が卵から生まれたという道教の創世神話です。はい、日本書紀のネタ元ですね。ただし、列子じゃなくて淮南子のはずなんですけども・・。さて、ここから長いんですが、要はお師匠様が「人相学の占い」の占い師のネタバレを3回やってます。

明日、又與之見壺子。立未定、自失而走。壺子曰「追之!」列子追之不及、反以報壺子「已滅矣、已失矣、吾弗及也。」壺子曰「郷吾示之以未始出吾宗。吾與之虚而委蛇,不知其誰何、因以為弟靡、因以為波流、故逃也。」然後列子自以為未始學而歸、三年不出。為其妻爨、食豚如食人。於事無與親、彫琢復朴、塊然獨以其形立。紛而封哉、一以是終。
→占いをさせた4度目の日、壷子に会った途端、占い師は血相を抱えて走り去った。師匠は弟子に「逃がすな!」と命じたが、占い師はどこともなく逃げ去ってしまった。壷子は列子に言った。「私は虚心坦懐の境地で無心でいたのだ。それで、一切の乱れのない私を見て、占い師は心を読み取れず、逃げ出したのだよ。」列子は、己の未熟さを思い知り、三年もの間家から出ず、妻の家事を手伝い、豚を我が子の様に育て、分け隔てなく人と接し、素朴そのものの生活を営んだ。彼はその後、人ごみにまぎれて、一生を終えた。

・・・列子というのは、荘子と同門の人なんですが、ここで、列子の人生をボロボロに描いています(何があったかはわかりません)。ただし、荘子は占い師と道の教えは違うと、はっきりと言っているわけです。荘子という書物には、絶対者もいないし、「易経」の世界観を入れながら、未来を予知するようなことはしていないんです。

ジョンの魂。

“God” John Lennon

God is a concept, By which we can measure,Our pain,
I'll say it again,
God is a concept,By which we can measure,Our pain,
I don't believe in magic,
I don't believe in I-ching,
I don't believe in bible,
I don't believe in tarot,
I don't believe in Hitler,
I don't believe in Jesus,

神とは我々の「痛み」を測る概念に過ぎない。
もう一度言うよ。
神とは我々の「痛み」を測る概念に過ぎない。

私は、魔法を信じない。
私は、『易経』を信じない。
私は、聖書を信じない。
私は、タロットを信じない。
私は、ヒトラーを信じない。
私は、ジーザスを信じない。

易経の占いの部分は取り除いているんですよ。
荘子は、思想を取り入れても、「I-ching(易経)」を信じないんです。

参照:God-John Lennon Lyrics included
http://www.youtube.com/watch?v=enBsFxNnAqM

釈迦といふ いたづらものが世にいでて おほくの人をまよはすかな (一休宗純)

・・・分かります?

Heidegger!
ハイデガーがパクッたワケ・・・神の介入なき世界・・・・天国も地獄もなく、ただ、あるがままの世界。

イマジン。

“Imagine”  John Lennon

Imagine there's no Heaven
It's easy if you try
No Hell below us
Above us only sky
Imagine all the people
Living for today...

参照:Imagine - John Lennon
http://www.youtube.com/watch?v=-b7qaSxuZUg

天国も地獄もなく、ただ、「天と地」のみがある世界・・・。
荘子って、あるがままの現実のフィールドで真剣に考えたんですよ。荘子の影響を受けた禅の涅槃(ニルヴァーナ)って、リアルであるところのこの世ですよ。自分の意思で人間が考えている世界です。

フリードリヒ・ニーチェ。
ニーチェ(Friedrich Nietzsche 1844~1900)が、「神は死んだ」と言った以降の二十世紀の西洋哲学において、「荘子」の思想は絶好の素材であるわけです。荘子はおとぎ話を語ってようで、現実を見ているんですよ。いや、むしろ、キリスト教的な価値観の崩壊を予兆したニーチェの出現によって初めて、紀元前の荘子と同じフィールドに、西洋の哲学者が立ち得たと言ってもいいのではないですか?

西洋の近代哲学なんてあなた、所詮はキリスト教の代用品ですから。宗教キチガ○をいかに治すかの作業なわけです。そこで、荘子なんですよ。絶対者なき世界。ニーチェのいう超人と、荘子に出てくる至人たち。寓言の中に隠された人としての道。まさに、なんですよ。キリスト以前のギリシャの哲学者ではなく、荘子の思想こそが効くんです。西洋に足りなかったパーツを、荘子が持っていたんです。だからハイデガーはパクッたんですよ。

2000年前に通過した場所だっ!!
通過しちゃっているんです。2000年前に。

KKK またの名をサンケイ。
近代哲学の巨人たちが、宗教との関係に苦しんでいるというのに、耶蘇教の恐ろしさも知らんまま、日本の賢い人は、いきなり西洋哲学やりますよね?いっつも気になっているんですが、キリスト教も知らんとニーチェを読んだり語ったりする日本人って、何がしたいんですか?頭大丈夫ですか?

一歩退いても、荘子の主張は凄いです。

Zhuangzi
「荘子」という人は、孔子を度々罵るように批判しますが、

莊子曰「以魯國而儒者一人耳、可謂多乎?」(「荘子」田子方第二十一)
→魯国を以ってしても、真の儒者は一人のみです。多いと申せましょうか?

ここですよ。

真の儒者は孔子一人だと。ここで、褒めるんですよ。これが実に重要なんです。禅宗もここですよ。ニーチェの「反キリスト者」もそうです。書物でガチガチに決めた決まりごとが破綻したり、一つの思想集団として、組織化したり、政治化しちゃったりせいで、組織が始祖の言っていることと矛盾したりするわけです。

『十字架を自らの手で壊すキリスト』
「十字架を自らの手で壊すキリスト」ホセ・クレメンテ・オロスコ

弟子が、教義が、教祖の言っていることと全く違う方向に持っていくんです。
「汝の敵を愛せ」と言った人の宗教の信者が、嘘ついて戦争を始めて、十万以上の人を殺すなんていう馬鹿げたことが起きるでしょ?ああいうのですよ。大きな組織においては大事な事なんですよ。初心を忘れておかしなことになっていくわけです。

「イエスは正しかったさ。だけど弟子達がバカな凡人だった。僕に言わせれば、奴らがキリスト教を捻じ曲げて滅ぼしたんだよ。」 (ジョン・レノン)

ジョブズ。
>君たちの時間は限られている。だから自分以外の他の誰かの人生を生きて無駄にする暇なんかない。ドグマという罠に、絡め取られてはいけない。それは他の人たちの考え方が生んだ結果とともに生きていくということだからね。

・・申し遅れましたが、ジョブズと私には「曹洞宗」と、もう一つ、共通点があります。

ビートルマニアなんですよ。

というわけで、次回は「ビートルズと荘子」について。

今日はこの辺で。


© Rakuten Group, Inc.